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イントロ
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The Elusive Consumer へようこそ。今日は Ellie がトロントの Future Festival から公開収録中。ゲストは Got Style の Melissa Austria、Dubai World Trade Center の Fareed Farouk、Kappel Group の Oscar Mesa、Just Funky の Raj Aurora、そして foodies group の Stephen Hellman。最初のインタビューでは、Ellie が Melissa Austria とファッションや小売、そしてパンデミックがメンズファッションや装いの習慣に与えた影響について語ります。
Ellie:
Welcome to the elusive consumer。Melissa from Gott style。
Melissa:
ありがとうございます。
Ellie:
Future Festival に来てくれて嬉しいです。どんな印象ですか?
Melissa:
新しいテクノロジーの話を聞くたびに、いつも驚かされます。それで次に考えるのは、「これをどう実務に落として、お客様の生活をもっと良くできるか」ということですね。
Ellie:
素敵な視点。あなたのストラップに “dress better, do better” と書いてあるのに気づいたの。どんな意味?
Melissa:
私たちは小売業ですが、ウィメンズもあるものの、明確にメンズ寄りです。
Ellie:
なるほど。
Melissa:
特にコロナ後、男性は「今の世の中のだらしなさ」に流されてはいけない、ということを学ぶ必要があると感じています。
Ellie:
本当にそう。
Melissa:
だから「もっと良く装って、もっと良く生きよう」なんです。
Ellie:
心から賛成。世代を超えて、すべての男性にそれを伝えてほしい。
Melissa:
まさに。状況はかなり悪くなってきています。元に戻さなければ。男性はもう“frat boy”のようではなく、男性らしく装うべきです。
Ellie:
いいね。あなたの組織での役割は?
Melissa:
オーナー兼創業者です。
Ellie:
なぜ始めようと思ったの?
Melissa:
名前の話ではなくビジネス全体の話で言うと、「課題を見つけて解決する」だけです。もう18年やっています。
Ellie:
わぁ。
Melissa:
長いでしょ。創業当時は、男性の装いは本当にひどかった。ボックス型の3つボタンのスーツ、プリーツ入りパンツ、Ed Hardy のTシャツ、True Religion のジーンズ…
Ellie:
あるある。
Melissa:
私はデンマークやスウェーデンのブランドを多く扱う会社で働いていて、頻繁にデンマークとスウェーデンに行っては「なぜトロントの男性はこういう風に装えないの?」と思っていました。
Ellie:
すごく分かる。私はスウェーデン育ちだから。
Ellie:
カナダに来ると「何が起きたの?」ってなるよね。
Ellie:
トロント、ごめんね。
Melissa:
北米全体もそう。
Ellie:
確かに。
Melissa:
米国は同等かそれ以上にひどいことも。
Ellie:
私はサンフランシスコ・ベイエリア在住だけど、あの西海岸的リラックス感にまだ慣れない。ロンドンのスーツが恋しいの。
Ellie:
それで創業が18年前?
Melissa:
18年です。
Ellie:
その間に何が変わりました?消費者行動は?
Melissa:
トレンドやテクノロジーが加速する一方で、「昔ながらへの回帰」も起きています。私の顧客は高タッチ・高サービスを望んでいて、テクノロジーはそれを速く簡単にするためのもの。小売は死んだ、皆オンラインで買うと言う人もいるけれど、私は違うと思う。人は店で買うことも望んでいる。ただし“体験”が必要。コミュニティ作りのために、店内でたくさんのパーティやイベントをやっています。
Ellie:
顧客とのコミュニティづくりの話ね。どう進めている?マーケやSNSの使い方は?
Melissa:
両方ですが、いちばんは私やスタッフが売り場でお客様とつながること。イベントを開くとき、個別に的確に声をかけられます。シングル向けイベント、大規模パーティ、ニッチなディナーも。『ゴッドファーザー』テーマで殺人ミステリーのディナーもやりました。
Ellie:
楽しそう!
Melissa:
顧客をよく知っているからこそ、データポイントを集め、プログラムに入れて、AI と CRM で呼び出す。常に頭で覚えておく必要がなくなる。お客様ごとのニッチな好みに合わせる感じです。
Ellie:
かなりデータドリブンなんだね。
Melissa:
より良くなってきたところ。課題は「データが多すぎて、どう使うか分からない」。でも今は AI を適切なプロンプトで使えば、プログラマがいなくても顧客のセグメントを組める。
Ellie:
このフェスは業界的にも役立っている?
Melissa:
学び成長し続けないと、どの業界でも取り残されます。
Ellie:
最後に楽しい質問。Netflix であなたの人生ドラマを作るなら、タイトルは?誰が演じる?
Melissa:
起業18年、山あり谷あり。起業家は一度くらい破綻を経験してこそ成功、と言いたいくらい。実はスタッフとリアリティ番組をやろうかって話してるんです。小売の裏側、スタッフの個性、そしてお客様の“ビフォー・アフター”。服が人を変えるんです。タイトルは『新しい “Queer Eye for the Straight Guy” 的な何か』でしょうか。
Ellie:
最高!
Melissa:
うちのスタッフが前面に出る感じで。
Ellie:
さっき「服が人を変える」と言ったの、大事だね。コロナ禍で在宅勤務が増え、着飾らなくなり、メンタルに影響が出たという研究もあるし、香水を少しつけるだけでも気分が上がる、と。
Melissa:
パンデミック初期はみんな努力してたけど、終盤はノーメイク、髪はお団子で「今起きました」みたいな人も。朝起きてシャワー、服を着て仕事に向かう——この一手間が大事。在宅でも同じ。起きたままの服じゃなく、着替える。
Ellie:
人はシャワーを浴びましょう。
Melissa:
在宅の友人は、再開後に反動で外に出まくるか、逆に引きこもるか両極端。メンタルへの影響は明らかです。
Ellie:
ではもう一つ。誰かと人生を入れ替えるなら?
Melissa:
難しい…Elon Musk。賛否両論で超スマート。人を苛立たせる一面もあるけど、彼の頭の中を体験してみたい。しばらくの間だけね。
Ellie:
今日はありがとう、Melissa。
Melissa:
Perfect。Cheers。
Ellie:
Cheers。
Melissa:
次は、Dubai World Trade Center の Fareed Farouk と、会場運営・カンファレンス、そして AI が顧客体験をどう高めるかを話します。
Ellie:
Hi, Fareed。The elusive consumer へようこそ。Future Festival に来てくれて嬉しいです。
Fareed:
Hi, Ellie。ポッドキャストに出られて嬉しいよ。Future Festival は、これからの生活やテクノロジー、そしてそれがあらゆる面にどう影響するかの“味見”ができるのがいい。
Ellie:
お仕事は?
Fareed:
Dubai World Trade Center で働いています。展示会・会議の会場で、自社でもイベントを主催します。世界最大級のテック系ショーや食品ショーを開催し、毎年何百万人も来場します。
Ellie:
今回はカナダへは何のために?
Fareed:
5年前にも来て、とても眼が開かれた。オンライン配信では得られない、人との出会いと対話がある。ここで人々の志や、職場でのテクノロジー活用を聞くのが好きなんです。
Ellie:
今年のテーマは “the year AI changes you”。AI をどう使っていますか?
Fareed:
私たちは人を迎えるビジネス。最優先はサービス、顧客体験。AI で来場者により良いコンテンツを、スタッフには生産性と効率を。結果としてお客様へのサービスが良くなります。
Ellie:
新時代にワクワクしてる?怖くはない?
Fareed:
どの時代にも新潮流は来る。悲観して仕事や世界に不安を抱くか、ポジティブに受け止めるか。私は後者を選ぶ。
Ellie:
最後に恒例の質問。登場曲にするなら?
Fareed:
今日の質問は全部準備してきたけど、それだけノーアイデアだった(笑)。ボクシングが好きで、入場曲でアドレナリンが上がる。特定の曲じゃないけど、映画『Tiger』で。
Ellie:
素敵。今日はありがとう、Fari。
Fareed:
こちらこそ。
Ellie:
お話できて楽しかった。
Fareed:
Take care。
Ellie:
Bye bye。
次は、Ellie が Oscar Mesa と、ローカル消費者理解とイノベーション受容について語ります。
Ellie:
Hi, Oscar。Future Festival の The elusive consumer へようこそ。
Oscar:
お招きありがとう。
Ellie:
来場の目的は?
Oscar:
自社のための新トレンド探索です。小売の今を見に来ました。
Ellie:
そして you’re with couple(Kappel Group)。組織を教えて。
Oscar:
Couple Group はメキシコの小売・金融サービス企業。国内で幅広い商品とサービスを提供し、アルゼンチンでも事業展開。メキシコで1,500万人以上のお客様に、商品の購入クレジット、銀行、年金などを提供しています。
Ellie:
米国とメキシコの消費者の違いは?
Oscar:
国ごとに違うので一概には言えません。私たちは対象顧客の「いまのニーズと願い」を満たすことに集中しています。家具や衣料といった基本品目、そしてクレジットへのアクセス。米国に近いけれど、行動はかなり違います。
Ellie:
顧客理解はどう進める?リサーチやテクノロジーは?
Oscar:
私の率いるイノベーションチームでは、デザイン思考やサービスデザインなど、消費者中心の手法を使います。自宅や店舗でのインタビューを重ね、ジョブ理論で課題を捉え、共創で解決策をつくる。
Ellie:
顧客に寄り添うのが大切だね。
Oscar:
その通り。
Ellie:
AI 時代のあなたの業界は?
Oscar:
情報量は膨大ですが、まずは受け入れて試し、学びながら素早く反復すること。低所得層の顧客にも役立つ形に落とし込みたい。
Ellie:
AI 以外で有望な技術は?
Oscar:
データ活用、機械学習・深層学習は重要。店舗での近接サービス、コンピュータビジョンの実験なども進めています。
Ellie:
Oscar 個人の原動力は?
Oscar:
家族、そして仕事では「勝利への情熱」。毎日が新しい機会。チームには「密林にナイフ一本で切り開け」と言っています。物事を成し遂げることが動機です。
Ellie:
では楽しい質問。自社以外で忠誠を誓うブランドは?
Oscar:
Pepsi のファン。
Ellie:
ブラインドで Pepsi と Coke を当てられる?
Oscar:
Pepsi の方が甘くて好み。違いは分かります。
Ellie:
メキシコのソーダは米国と味が違うとも聞くけど?
Oscar:
水の違いかも。
Ellie:
入場曲は?
Oscar:
メキシコの地域音楽 “banda”。
Ellie:
いいね。最後にリスナーへ一言。
Oscar:
成功の土台はチームへの信頼と育成。ためらわずチームを育ててください。成果はそこから生まれます。
Ellie:
カルチャーがすべて。今日はありがとう、Oscar。
Oscar:
こちらこそ。
Ellie:
次は foodies group の Stephen Hellman。食のイベント、トレンド、ストーリーテリング、食体験によるコミュニティづくりについて。
Ellie:
Stephen、The elusive consumer へようこそ。
Stephen:
呼んでくれてありがとう。
Ellie:
あなたの会社と役割、来場の目的は?
Stephen:
Foodies Group は企業/一般向けイベント、フェス、マーケ/PR/コンサルまで“食”全般を手がける会社。Future Festival では Teresa と一緒に毎年「トレンドサファリ」で食のイノベーションを紹介しています。学びに来るのが好きなんです。
Ellie:
“食のイノベーション”とは?
Stephen:
多面的です。ロボティクスは生産・製造・配送まで大きな役割を果たす。一方で、ストーリーテリングやインタラクティブ体験もトレンド。食を通じて物語を共有する方法を探る、ということです。
Ellie:
消費者は新体験に前向き?躊躇もある?
Stephen:
概ね前向き。ただし度合いは人それぞれ。イベントでは、いきなり専門家にさせるのではなく、まずは視点を少し変える入口を提供します。たとえばチョコレートのテイスティングで、産地や製法の基礎を楽しく学ぶ、など。
Ellie:
“elusive consumer” をあなたのビジネスで言うと?
Stephen:
食を「ただの燃料」としか見ず、深掘りしたくない人たち。物語性や体験を求めない層は、我々の提供価値に刺さりにくいので、やや捉えにくいですね。
Ellie:
あなた自身の経歴は?
Stephen:
ビジネスデベロップメント出身。エンタメ、法律事務所、コンセッション、カーペットまで多業種で。物語を伝え、ビジネスを伸ばすのが好きでした。イタリア系の家庭で、食はいつも中心。トロントの食シーンが伸び始めた頃、その物語を伝えたいと思い、Foodies Group を立ち上げて11年です。
Ellie:
トロントは多文化で食も多様。多様性へのアプローチは?
Stephen:
食は「偉大な媒介」。文化の物語を食で共有できます。トロントでは文化の融合が料理に現れている。たとえばフィリピン系とジャマイカ系のバックグラウンドを併せ持つシェフが、双方の要素を料理に取り入れる、など。
Ellie:
“新しいものへの恐れ”、AI 時代にどう向き合う?
Stephen:
「イノベートせよ、さもなくば消える」。すべてが万人向けではないにせよ、進化し続けることが鍵。私たちも11年で常に変化し、それがコロナ禍などを乗り越える力になりました。
Ellie:
パンデミックでの行動変化は?
Stephen:
激動。集合不可から完全オンライン、再集合への逡巡…あらゆる段階に合わせたプログラムを用意する必要がありました。進化のスピードは過去最大。でも刺激的です。
Ellie:
コミュニティづくりは?
Stephen:
関心軸ごとに体験を多様化する。サステナビリティに関心が高い人向けには、農業の実践を学べる会を。一方で、チョコやチーズなど誰でも参加しやすい会も。幅広く用意して人々をつなぐことです。
Ellie:
最後に楽しい質問。戻したい10年は?
Stephen:
ロマンで言えば“Roaring 20s”。解放とパーティの時代。コロナ後の今こそ求められている気がします。
Ellie:
1つだけSNSを消せるなら?
Stephen:
どれか一つではなく「全部」かも。断絶と疎外感を生み、本当の接続を妨げる面もあるから。マーケ的には矛盾するけど、リアルなつながりを取り戻したいですね。
Ellie:
同感。今日はありがとう、Stephen。
Stephen:
こちらこそ。
Ellie:
最後は Raj Aurora。特にアニメ分野で、ファンダムと「感情×プロダクト」の話。
Ellie:
Raj、Future Festival の The elusive consumer へようこそ。
Raj:
呼んでくれてありがとう。
Ellie:
Just Funky の Raj、組織と役割は?
Raj:
私たちは“fandom”にフォーカスしています。音楽でもアニメでも、ファンの感情的な結びつき。それを製品に組み込み、マグカップ一つでも作品やキャラクターへの感情を呼び起こすようにします。
Ellie:
違法なことは…?
Raj:
全くありません(笑)。
Ellie:
どれくらいやってるの?
Raj:
ファンダムの世界には15歳から。高校時代に始めました。
Ellie:
日本のアニメについて?
Raj:
COVID が普及を後押ししたけれど、ルーツは80年代。日本のビデオやDVDが密かに持ち込まれ、違法に見られても「心に響いた」。日本文化は抑制的な側面もある一方、漫画やアニメでは感情表現が解き放たれる。米国のヒーロー物は役割が限定されがちだけど、アニメはより広い感情のレンジを許容する。
Ellie:
新世代との相性?
Raj:
個の尊重とパーソナライゼーションの時代。ストリーミングで自分に刺さる作品に出会える。誰にでも「自分の物語」が見つかる。韓国・中国発の作品も素晴らしい。
Ellie:
イノベーションへの情熱はどこから?
Raj:
精神科医にも聞かれる質問だよ(笑)。私は作品自体より「ファンの笑顔」に駆動される。製品が彼らに与える意味、ライフへの影響を聞くと、もっと良いものを作りたくなる。
Ellie:
消費者ドリブンなんだね。
Raj:
生きてるのは彼らのため。
Ellie:
このフェスで得た学びは?
Raj:
ミクロトレンドがマクロになったことの検証。どうコミュニケーションし、より良くできるかの答えが見えた。まだ初日だけど。
Ellie:
グローバル vs ローカルのアプローチは?
Raj:
“グローバル”に見るのは間違い。すべてローカル。国や州ごとに文化が違う。現地に溶け込み、ローカライズすべき。
Ellie:
新時代の「ワクワクと恐れ」は?
Raj:
ワクワクが上回る。怖さは「ついていけるか」だけ。
Ellie:
チームの受け止めは?
Raj:
小規模で、アーティストの表現は尊重。ただ、AI に置き換えられる恐れはある。デザインハウスだからなおさら。でも実際は創造性を奪うのではなく拡張する。例:ラーメン丼に“AI がパーソナライズしたレシピ”を添えて体験を拡張する、など。AI は私たちをシェフ並みに賢くしてくれる。
Ellie:
ではランダム質問。Super Bowl のCMで、どのセレブを起用する?
Raj:
セレブは使わない。今の消費者は賢い。同じコミュニティの声の方が響く。
Ellie:
素晴らしい答え。では「あなたのブランドの誤解」は?
Raj:
誤解というより自業自得。ジャンルに忠実すぎて「飲料容器の会社」「アニメの会社」と固定化されがち。もっと速く進化すべきでした。
Ellie:
登場曲は?
Raj:
“I’m Too Sexy”。
Ellie:
それでは、cheers。
Raj:
Cheers。
Ellie:
ありがとう、Raj。
Raj:
Thank you。
Ellie:
楽しかった。